Shinya

近況 2024.11

あっという間に寒くなった。「ここは急に冬が来るよ。」そう言われていたが朝晩の冷え込みがきつくなった。まわりを山に囲まれた内陸だから気温差が出るのだと思う。山の空気は澄んでいて気持ちいい。夜の冷え込みも星がきれいに見えるのと引き換えだからもはや空気すらきらきらするのがわかる。やはり肌に合っているのはこの季節だ。

11月に入っておやすみ宣言をしたのが効いてきて落ち着きはじめた。宣言をしたのは3ヶ月くらい前だろうか。そこまでに受けていた仕事がぽつぽつ終わりはじめて、まだ毎日やることは出てくるけど心を病むほどではない。今くらいのペースがちょうどいいなと感じているので働きすぎていたのだろう。

数ではなくなった。新しい案件をひたすらに受けて作って、数だけは一人前だけど何かを積み上げた感じがしない。いつだったか「誇りが積み上がっていく仕事」という表現を見かけた。人に何かを教える仕事を指して表した言葉だった。丹精込めて作ったウェブサイト、長く使ってもらっているものもあるけれどリニューアルしたり終了したりでなくなっているものも多く、射程が短い仕事だと感じる。「誇りが積み上がっていく」とてもいい言葉だ。果たしてそんな仕事ができているだろうか。

だからといってやめるわけではないが、なるべく続けていくために改めて引いて見なければと思っている。僕自身の仕事への向き合い方として収入を得るためには案件を受けつづけなければいけないという構造に無理がでた。仕事をするというのはそういうことであるのはわかっているし、必要があればもちろんやりたいわけだが、もはや使い捨てのように扱われることも多い職業でもある。その中で誇りを保ちながら立ち回るにはどうすべきなのだろう。わからなくなってしまった。

仕事があって収入がある。今のままでいいという声も聞こえる。だけど、今のままでいるということを決めた瞬間に心が萎んでいくのがわかる。人間は難しいものだ。

先月、耳の病気になった。低い周波数の音がきこえづらくなる病気で生活に支障はないのだがストレスや疲れが原因のようだ。普通の音はきこえるし、なんなら自分では気付かないくらいだったのだが、この出来事でどこか吹っ切れた。自分がやらなきゃと思っていることが別に自分にとって大切なわけじゃないのかもなと思った。そして自分を大切にしようと思った。病気になるくらいならやめたほうがいいわけで、今まで自分に強制していたようなことをいったん壊してみたい。そんなで毎日3食分の薬を3種類、1ヶ月ほど飲んでいる。あまりに量が多いので薬専用のポーチを買ったほどだが、薬を飲むのにも慣れてきて量が減っていくことに楽しみを見出している。

今は公園の駐車場に車を停めて、そこで本を読んだり、ご飯を食べたりすることが楽しい。そうしてはじめて、このところ自分が楽しいと思うことをやってこなかったんじゃないかと気付いたりしている。