Koto

電車通学、通勤を続けて15年以上の時を経た結果、電車の中=音楽を聴く時間になり、電車に乗れば欠かさずイヤホンを耳にさしていた。長い時には往復4時間の道のり、毎日音楽を流していた。

吟味して曲を選ぶのではなく、一度気に入って何度もリピートしている曲を迷うことなくまた再生。その頃にはもう音や詞に集中しながら聴くというよりも、日々のルーティンのように当たり前のように、右から左へするりと抜けていくように、ただ流していたと思う。そういう楽しみ方もあるかもしれない。でも余裕のない日々とも相まって、あの頃の私は音楽を楽しむというより消費していた、という表現の方が合っているような気がする。

家で仕事をするようになり通勤がなくなってから、音楽は意識して時間を設けて再生ボタンを押さなければ鳴らない存在になった。音楽を聴く時は、音に集中する。すると今まで流していた時には気が付かなかった、聴こえなかった音が聴こえる。改めて歌詞を追ってみると、その表現の美しさに息を呑んだりする。その1曲に込められた時間、熱量、気持ちに思いを馳せたりする。

そんなふうに改めて音楽を聴くようになって、感動したこのアルバム。ギターのフレーズ、歌詞、息づかい。聴くたびにこんなに素晴らしかったんだと気がつく。日に日に好きになる曲たち。