LEAVING AND WAVING
ある日、目に入ってきた「LEAVING AND WAVING」というタイトルの写真集。一度は買い逃してしまったけれど、たびたび思い出しては再入荷の知らせを待っていた。タイトルと表紙がなんだか忘れられなかった。
ようやく再入荷の知らせが届き、ふだんだったら少しためらうような値段だけれど、迷わずに購入。いざ、手に。
そこから実際に写真集を開くまではけっこうな時間がかかった。さかのぼってみたら書店からの発送メールが1月20日に届いていたので、約10ヶ月のあいだ、封がされたまま机のすみに置いてあった。なんだろう、この写真集を開くには少し勇気がいる気がする。開く時には、誰からも邪魔されずにひっそりと読みたい。
それがある時に、うん、いま開いてみよう、とふと思い立った。別になんの気合いも入れずに、ぱっと封をあけてしまった。
家族、生活、季節、年月。ページをめくるたびにその家族に近づいていく。だんだんと声すら聞こえてくるような気がする。「私はちゃんとやってるから、心配しないで」。これは私の勝手な想像だけれど。
読み終えた時には、映画を一本観たようななんだかグッとくるものがこみ上げてきて。私は写真集で泣いたのは初めてだった。ひとつの家族の歴史。