オブジェ
妻が制作中の大きなオブジェを家に持ってきた。学校の成果展に出す予定のものだ。どうも大きいものを作りたくなるらしい。手びねりという技法で、棒状に伸ばした土をひたすらに積み上げていく。積み上げるという方法で陶芸をする方法があることを初めて知った。ろくろとは違って時間のかかるのが手びねりで、機械を使わずに身体だけで作り上げていくというのは人間のスピードという感じがする。
大きなオブジェを作る上で難しく感じるのは重力のようだ。大きなものというのはそれだけ下部に重さがかかる。作っているあいだに重力に引っ張られるようにして形が変わってしまうのだ。それを利用して形を決めるのもありだろうが、そうなると狙った形にするのは難しいだろう。常に乾燥との勝負をしている。
土は乾燥させると形が決まる。逆に言うと乾燥させない限り形が変わっていってしまう。乾燥させるスピードが遅いと重力の影響を受けてしまうし、乾燥させるスピードが早いとひび割れてしまったりする。形や厚さなどの差で場所によってもそのコントロールが必要だ。まさかこんな大きなものを作るようになるとはと思いながら、このところの休日は湿らせたウエスを細かく貼って乾燥をコントロールしていく妻を横でみていた。